為替に猛烈な影響を与える各国中央銀行の政策決定会合について

為替に猛烈な影響を与える各国中央銀行の政策決定会合について

FX取引をしていますと様々な経済指標の発表などが相場に大きな影響を与えることになるわけですが、それとは別に主要国各国の中央銀行が決定する政策決定会合の結果も為替の価格形成のために非常に大きな影響を与えることになるために世界的にその内容を注視するようになっているのです。先進諸国における中央銀行の政策決定会合には以下のようなものがあり注目されています。

FOMC

Photo Wikipedia

FOMCはFederal Open Market Committeeの略号で、日本語では連邦公開市場委員会と訳されています。このFOMCは米国の中央銀行の政策決定会合に位置づけられる会議体でFRB連邦準備制度理事会の7名の理事と地区ごとの順番で選ばれる連邦準備銀行の総裁5名で構成されています。年間では年間で計8回、ほぼ6週間ごとにワシントンで開催されることになっています。毎回の会議は2日間の日程で行われ、最終日にその内容が発表されています。日本時間では夏時間なら午前3時、冬時間は1時間遅くて午前4時に政策金利の発表があり声明もプレスリリースの形で発表されます。パウエル議長が就任してからは毎回その後に記者会見が開催されるようになっておりこちらも大きな注目を集めるようになっています。FOMCで投票権をもつ地区連銀の総裁は毎年入れ替わる形になっていますが、投票権のある総裁の発言は事前段階で市場でも大きく注目されるものとなっており、発言だけで相場が動くこともしばしば見受けられます。

米国FRBは2015年末から利上げを実施することで量的金融緩和から引き締めへと動いたはずでしたが、今年の年初からは一転して利下げに動くようになっており、結局緩和から抜け出せない状態が続いています。市場の利下げ期待は非常に高いものがあり、これにどう応えていくのかがFOMCの大きな課題になりつつあるのです。

ECB理事会

ECBは欧州中央銀行の略号で、ECB理事会はその最高意思決定機関と位置付けられています。EUは地域連合体であることから加盟国全体の金融政策をつかさどる役割を果たしているのがこのECB理事会ということになります。ECB理事会はECBの幹部である総裁、副総裁と4人の専務理事に加え、EU加盟の各国中銀総裁19名の参加で総勢25名によって構成されています。この会議は基本的に6週間に1回開催され、各国中銀総裁は輪番制で投票権が回ってくる形をとっています。ECBもこれまで米国FRBに追随する形で大規模な量的緩和を実施してきましたが、一旦緩和を縮小して出口に向かうような動きを見せたものの、EU圏の景気の悪化に配慮してこの9月に再度利下げと量的緩和の両面を伴った緩和措置を発動しており、出口からまた遠のいた状況が注目されています。ECB理事会の政策決定会合には毎回総裁の記者会見がありこれをうけて相場はユーロを中心として大きく動くのが特徴となってきています。9月の会合後のドラギ総裁の記者会見でもユーロドルを中心にして大きく相場が動くこととなり、ドル円もクロス円もその影響を受ける結果となっているだけに世界的に注目せざるを得ないイベントになっていることがわかります。

BOE MPC

Photo Bank of England

BOEとはイングランド銀行の略号のことで英国はいまのところEUに加盟した状態ですが、ポンドという別の通貨を利用していることから毎月上旬にMPC ・Bank of England’s Monetary Policy Committee 、日本語では政策決定会合が総裁、副総裁2名に6名の委員により開催されており、ECBとは別の政策が実施されています。英国はEU離脱の国民投票が確定して以来その金融政策に市場の関心が高まっており、BOEの理事会の結果発表とその後の総裁会見に大きな注目が集まります。現状ではこの10月31日に英国が本当にEUから離脱をはかるのかさらに延期するのかに大きな注目が集まっていますが、この混乱を経済にできるだけ影響のでないようにするためにMPCの政策決定にさらに大きな関心が集まるようになっています。

日銀政策決定会合

Photo 日銀

日本銀行の最高意思決定機関の委員会の中で、金融政策の運営に関する会議と決定を行う会合のことを日銀政策決定会合と呼んでいます。この会合は年間8回、毎回2日間に渡って開催され、最終日のお昼過ぎにその結果発表が行われ、同日の午後3時半からは総裁の会見も開催されています。先進国の中央銀行はほとんど政策決定の結果発表の時間を決めているにもかかわらず、日銀だけは時間をして指定していないのが大きな特徴で昼前に発表されることもあれば午後2時近くに発表されることもあり、発表が遅れると議論の中身が白熱しているのではないかといった憶測飛び交うようになりなにか新たな追加措置がでることを期待する向きもでて相場は荒れやすくなる傾向があります。米欧の中央銀行が改めて緩和的な措置に舵を切っているだけに日銀も今月19日の政策決定会合ではなんらかの緩和的な措置を深堀する可能性が考えられ、非常に注目される状況となっています。

9月はこのように主要国中銀の政策決定会合が矢継ぎ早に開催されることから、その結果次第で個別の通貨は非常に大きな影響を受けることになることから事前に思惑で相場が動くこともありFXの取引としては非常に難しい時間帯を迎えることになります。それだけにしっかり結果を認識していく必要があり、FXトレーダーにとってはいい利益機会になる反面大きな相場変動で緊張を強いられる時間帯になるのです。今月はすでにECB理事会が開催され、19日午前3時にFOMCの結果発表、さらに同日の昼過ぎに日銀の政策決定会合の結果発表が行われますのでそれぞれの政策金利発表で相場が上下にぶれる可能性があることはしっかり理解しておくべき状況です。