2019年分の海外FX改定申告の効率的な進め方③ 兼業トレーダーの申告

2019年分の海外FX改定申告の効率的な進め方③ 兼業トレーダーの申告

海外FXで専業トレーダーをされている方の場合にはとにかく稼いだ金額から経費部分を差し引き、個々人の方の状況に応じて各種の控除を行った残りが課税所得となり、所定の税率にあわせて納税を行えばいいことになります。

過去のコンテンツでは海外FX利益の税金は本当に高いかの検証~①専業トレーダー篇https://fxstreet.biz/366/ をアップしておりますのでご参考に見ていただきたいと思いますが、非常にざっくり申し上げて年間900万円程度までの利益獲得専業トレーダーの場合であれば国内の店頭FX業者だけを利用して申告分離課税20.315%を利用するのと海外FXの総合課税による税金の支払いはそれほど決定的な違いはないことが確認されています。むしろそれを超える億トレーダーのような世界になった場合には法人を設立するなり更なる節税を考える必要がありますが、それ以外はそれほど神経質になる話ではないことがわかります。ただ、この時期に考える確定申告はすでに2019年に稼いでしまっていますから調整のしようはなく、とにかく正確に確定申告を行って粛々と納税していくことを考えるしかないのが正直なところです。

 

兼業トレーダーの確定申告がもっとも複雑で個別に内容は千差万別の状況

海外FXの確定申告のなかでもっとも複雑で個々のトレーダーの収入や家族状況によって大きく納税額が異なるのが兼業トレーダーの申告です。

兼業トレーダーでなんらかの形で会社勤めなり個人事業で給与所得を得ている方の場合には、まず昨年の給与所得に対して源泉徴収票が所属法人から付与されているはずですが、海外FXで大きな所得が得られている場合にはその給与総額から給与所得控除を抜いた課税所得にさらに海外FXの収入を足していく総合課税の仕組が適用されることを理解しておく必要があります。海外FXの利益はまるまる課税の対象になるわけではなく経費と各種控除を差し引いた部分ともともとの課税所得を合算したものに対して該当税率が適用になるわけです。

その課税される所得金額ごとの税率が上の表になるわけですが、海外FXで儲かった場合には確実に収入が増えた分を確定申告で納税する必要があります。しかし、国内業者を利用した申告は20.315%という定率の納税になるためほかの給与所得の影響は一切受けないのですが、総合課税となるとほかの給与所得との合算になるため金額次第では税率が大きく変化してしまうところが非常に厄介になってしまうわけです。
たとえば海外FXで年間500万を稼いだ兼業トレーダーであっても給与所得がひくければ税率はそれほど高くはなりませんが、普通にしていても33%の税率が適用になる兼業トレーダーの場合500万の追加収入により税率が40%にアップしてしまい、既存の給与所得の税率まで上がってしまうという事態に追い込まれることは十分にありえるのです。ですからいくらまで稼ぐのが得か損かは年が終わる前によく考えておく必要があるのです。残念ながら足元はすでに2020年ですからいまさらどう調整することもできず、正確に申告を行うことしか道は残されていません。

以前こうした内容もご紹介していますので参考までにお読みいただければと思います。
海外FX利益の税金は本当に高いかの検証~②兼業トレーダー篇 https://fxstreet.biz/373/

国内業者利用に適用になる損失の繰り延べは一切なし

国内の店頭、取引所FX業者を利用した場合に損失が発生したときは最大3年間画定申告時に損失を申告しておけば繰り延べを実施することができ、翌年に利益がでた場合にはそれと相殺にすることが可能となる税制の仕組が存在しますが、残全ながらこの規定は海外FXには全く適用されません。また国内でほかのデリバティブ商品の取引を行った場合にはその利益と損益通算ができる仕組みも導入されていますが、こちらも海外FXにとっては何の関係もない規定となっています。

とにかく厳密に確定申告用紙を用いて早めの計算が必要

海外FXを利用した利益がでた専業トレーダーの場合は自らの給与所得に関する課税所得と海外FXの所得を合算してみて確定申告表に登場する以下の所得から差し引かれる金額を正確に記載したうえでとにかく早めに納税金額がいくらになるのかを掌握する必要があります。

海外FXの利益の2割程度を残して残りは年内に既に使ってしまったなどということになりますと場合によっては納税資金が足りなくなるといった最悪の事態に陥ることもありますので、2月を待たずこのタイミングにしっかり厳密な計算をすることをお勧めしたいと思います。

よく海外FXを利用したことで余分な納税が増えたと後悔される方の姿を見ることもありますが、こればかりは結果論で、レバレッジの高い海外口座を利用しなければそんなに利益を稼げなかった可能性もあるわけですから一概に海外FX利用が非常に高いものにつくと考えるのににも問題がありそうです。すべては計画的な取引に基づくもので自分の給与所得年収からいくら収入が増えると税率が変わってしまうのかについてはまずあらかじめ掌握しておくことが重要であることをしっかり理解しておかなくてはなりません。