XMで天然ガスの取引、注意点などの総まとめ

XMで天然ガスの取引、注意点などの総まとめ

天然ガスの取り引き時の注意点

天然ガスが取り引きできる時間

国内とは異なり、「888倍」という超ハイレバレッジを効かせてFX(外国為替証拠金取引)ができることで日本人トレーダーに人気の「XM」では、他にも52種類のCFD(差益決済取引)を取り扱っています。

世界中のトレーダーが利用している「MT4」「MT5」といったトレードプラットフォームで、FXと同じように、原油や金、トウモロコシなどを取り引きすることができるのです。ただし、CFDについては、FXとは仕組みが少し異なりますので、事前にしっかりと把握しておく必要があるでしょう。

今回はCFDの中でもボラティリティ(変動率)が高い「エネルギー」(ENERGY)の商品の中から、「天然ガス」について注意点や価格の推移をお伝えしていきます。

天然ガスのシグナルは「NGAS」です。「先物CFD」になりますので、シグナルの後ろに「限月」が表示されます。NGAS-MAY15であれば、限月は5月15日ということです。現物と違い、先物はこの限月を迎えると強制決済になりますので注意してください。

その代り、現物のようにポジションを保有している期間、マイナススワップが積み上がっていくことはありません。先物にはスワップ金利も配当金も該当しないからです。ですから中期トレードにも適しています。

FXは平日であれば24時間取り引きすることが可能ですが、天然ガスの場合は、メンテナンス時間があります。取り引きができる時間帯は、夏時間であれば日本時間で月曜の7:05~土曜の5:10までで、毎朝5:55~7:05まではメンテナンス時間になります。冬時間であれば月曜の8:05~土曜の6:10までで、毎朝6:55~8:05まではメンテナンス時間です。

変動が大きくなるのは、FX同様、ロンドンタイム、ニューヨークタイムが重なる日本時間の夜になりますので、ここが狙い目です。ニューヨークタイムがクローズし、市場が閑散となると、メンテナンスで一時休憩になるという流れです。

コントラクトサイズと証拠金率

レバレッジについては、FXのような888倍にはなりません。こちらは「証拠金率」で表示されることになり、天然ガスの場合、「証拠金率3%」です。これをレバレッジに換算するとおよそ33倍になります。

「コントラクトサイズ」は1Lotが、「1000MMBtu」です。Btuは英国熱量単位(British thermal unit)のことで、1MMBtuとは100万英熱量です。この1MMBtuあたり米ドルでいくらなのかが「オープン価格」としてチャートなどに表示されます。つまり、XMの天然ガスのコントラクトサイズは100億英熱量ということになります。

2019年4月12日現在、NGAS/USDは1MMBtu2.680ドルです。米ドル/日本円(USD/JPY)が1ドル112円だとすると、1Lotのポジションを持つためには、2.680×1000×112=300,160円、つまりおよそ30万円の証拠金が必要になるわけですが、証拠金率が3%ですから、およそ9,000円という計算になります。これを10Lot保有するのであれば9万円です。

仮に安値の1MMBtu2.580ドルの時に10Lot保有していたとして、0.1ドルの2.680ドルまで上昇するといくらの利益になるのでしょうか?

1,000ドルの含み益になりますから、1ドル112円が変わらない場合、112,000円の利益です。ロングポジションの場合、天然ガスの価格が上昇すれば含み益は膨らみますが、さらに円安が進むと、その分だけ利益が大きくなるということになります。為替レートも影響を及ぼすのです。

ボラティリティが高いのが天然ガスの特徴ですので、1日の中で1MMBtu0.10ドル変動することは珍しいことではありません。9万円の必要証拠金で、1日11万円以上の利益も出せるということです。

ただし、ハイリターンが期待できるということは、ハイリスクでもありますので、含み損に耐えられるよう余剰金には余裕を持つようにすることが大切です。今段階としては、1MMBtu2.551が底値ですから、10Lotで取り引きするのであれば、30万円は用意したいところです。これだけ余剰金があれば下落しても耐えることができるでしょう。

ギリギリの証拠金で取り引きしていると、証拠金維持率が20%を下回り、強制ロスカットになりますので注意してください。

天然ガスの価格推移

日本での天然ガスの価格が高い理由

CFDで天然ガスを取り引きする際にチャートで価格を確認していくと、日本国内での価格との差にずいぶんと開きがあることに気が付きます。例えば2016年3月の天然ガスの価格を比較すると、アメリカでは1MMBtu1.7ドル付近であるのに対し、日本では7.7ドルです。ちなみに2019年1月では、アメリカの価格がおよそ3ドルに対し、日本ではおよそ12ドルとなっています。

なぜこれほどまで価格差があるのかというと、天然ガスは気体であるために輸送の効率が悪く、莫大なコストがかかるからです。天然ガスはパイプライン経由で輸送することもできますが、日本にはありません。ですから、天然ガスを圧縮し、マイナス162°まで冷却して液化天然ガスにします。「LNG」(Liquefied Natural Gas)と呼ばれています。LNGをタンカー輸送するのです。輸送費がかかるために日本では天然ガスは高くなります。

一方でアメリカでは天然ガスの生産量が伸びており、やや生産過剰になってきています。冷凍保存の技術革新でLNGのタンカー輸送も発展しているのですが、市場価格の動向を見極め、売り時を待って海上で停泊しているタンカーも世界中に無数にあります。

日本では都市ガスなどに利用され、原油に代わる代替エネルギーとして注目されている天然ガスは、価格競争力を高めるために原油価格よりも低く抑えられていますが、日本の市場価格とはややかけ離れているので、注意が必要になります。

天然ガスの価格変動

一日の中でも大きな変動のある天然ガスですが、中期・長期のトレンドは下落基調です。ここ5年間の天然ガスの価格推移を確認してみましょう。

2014年には1MMBtu4.5ドル台をつけていましたが、ここから2016年3月にかけて下落し、1.7ドル台まで下がっています。ただし反発する時は大きく上昇し、同年12月には3.7ドル台まで回復しました。そして2018年4月にかけて2.6ドル台まで再度下落、そこから半年はもみ合いの状態が続きました。

もみ合いがしばらく続いた後は、2018年11月に4.8ドル台まで急騰。しかし、やはり変動は激しく、2019年1月には2.5ドル台まで急落しています。同年3月には2.8ドル台まで回復するものの、その後は2.6ドル台と2.7ドル台を行ったり来たりのもみ合いの状態です。

ここ5年間を振り返っても、天然ガスの価格は半値以下まで急落したり、倍以上に急騰しています。市場の動向を分析し、売買のタイミングを合わせることができれば、短期間で大きなリターンを期待できるのが天然ガスなのです。一時上昇しても、すぐに下落するという特徴もありますので、エントリーのタイミング、エグジットのタイミングはレジスタンスラインやサポートラインでしっかりと確認しておきましょう。

まとめ

天然ガスを取り扱う際のポイントを改めてまとめてみましょう。

  • 先物CFDなので限月がある。
  • 先物CFDなので、スワップポイント、配当金はない。
  • 取り引き時間は24時間ではない。
  • 証拠金率は3%なので、レバレッジはおよそ33倍。
  • コントラクトサイズは、1Lot=1000MMBtu。
  • 天然ガスはボラティリティが高いのでハイリターンが期待できる。
  • 強制ロスカットにならないように、余剰金には余裕を持つ。

FXだけではなく、その他のCFDに分散投資するのはリスクヘッジになりますが、ボラティリティが高いという点は注意してください。大切な資産を増やしていくためにも、許容できるリスクをしっかりと確認しながら、取り扱う天然ガスのポジション量を調整していくことをおすすめします。