海外FX利益の税金は本当に高いかの検証~①専業トレーダー篇

海外FX利益の税金は本当に高いかの検証~①専業トレーダー篇

海外FXを利用して大きな利益を獲得したときに、国内業者を利用して利益を上げたのと決定的に異なるものが税金の支払いとなります。

兼業トレーダーの方は「兼業トレーダー編」をご覧ください。

国内業者を利用したデリバティブ取引は為替に限らず申告分離課税が適用されますので、給与収入とは別に別に年間に稼いだ金額に対して20%の税金プラス復興特別所得税0.315%の計20.315%さえ確定申告して支払えば100万円でも1億円でも税率は全く同じということになります。

しかし海外FXの場合は総合課税扱いになるため暗号資産の利益と同じですべての所得に対して課税されることから所得が多くなればなるほど税率は高くなり、国内業者を利用するのよりも確かに大きな税金を支払わなくてはならなくなるケースも存在することになります。

そこで、今回は一体どのぐらいの利益が出たあたりから税金が高くなってしまうのかを検証してみることにします。

一回目については専業トレーダーにフォーカスしてまとめてみることにします。

①課税利益年間195万円以下の場合

専業トレーダーで年間195万円の利益が出た場合をまず想定してみます。実際専業トレーダーで年収が200万以下というものかなり厳しいものがありますが、海外FXだけでこの額を稼いだ場合、現実には社会保険の支払いや生命保険の支払いに伴う保険料控除や医療費控除など個人差がありますが、ここでは配偶者や子供等の扶養家族が一切いない独身者と仮定して計算をしてみます。

基礎控除は一律38万円となりますからまずこれを差し引き課税の対象となるのは157万円です。

195万円の場合には課税される所得からほかに控除される金額はありませんのでこの157万円の5%、最大78,500円を支払えばいいことになります。実際にはほかにも控除できるものがあるのが普通ですからこの金額以下に収まることが殆どと思われます。

一方国内業者を利用して申告分離課税が適用になる場合には195万×20.315%が税率となりますので確定申告時に396,142円を支払えば他には一切税金はかかりません。

こうして比較してみますと195万円以下の年間FX収入であれば海外FXの総合課税で処理したほうが格段に税金は安くなることがわかります。

②課税金額が195万円超330万円以下の場合

さらに利益が増えて195万円超から年間330万円以下の場合は、どうでしょうか。こちらも独身者を想定してほかに何も控除されないと仮定しますと、まず基礎控除が38万円となりますので、実質的には368万円以下の利益であれば10%の税率が適用となります。控除額は97500円ですから課税対象となる金額は

(3680,000円-380000円)×10%-97500円で232,000円となります。

(500円以下切り捨て)

これにさらに住民税で一般的には15万前後が別途課税されることになりますが、実際にはそこまで支払っている人は皆無でもっとリアルな税金は安くなると考えていいでしょう。

一方国内業者の場合は申告分離課税ですから所得税、住民税を含めて365万に対して20.315%の税率で計算しますと、741,497円を支払うことになります。

ざっと税金を総合してみた場合には、およそ総合課税の倍以上の金額の支払うことになります。このFX所得レベルではまだ海外FXのほうがお得になります。

③課税所得が330万円超695万円以下の場合

このあたりからいよいよリアリティの高い金額になってきますが、695万円を年間利益として稼いだ場合、独身で家族のいない状況であれば基礎控除が38万円で最大657万円が課税対象となり、税率は20%に上昇しますので税率は20%ですから6,570,000円×20%-427,000円=887,000円

これに住民税が最大で40万円程度課税されますので1,287,000円程度が税金の支払いとなります。(実際にはこれよりかなり少ないはずです)

一方国内業者で695万円の年間利益を上げた場合には1,411,000円が申告分離課税となります。

したがってこのレベルでもまだ海外FXの総合課税のほうが税金は安いことがわかります。

④課税所得が695万円超900万円以下の場合

独身者で何もほかに控除するものがないと仮定し、900万円が海外FXの利益ですと課税所得は862万円で8620000円×23%-636000円=1346000円が所得税となります。

このレベルですと住民税はすでに50万円を超えるレベルになりますので185万円程度が納税額の総額になります。

一方店頭FX業者で同額の900万円を稼いだ場合には所得税、住民税を入れてその20.315%の申告分離課税となりますから総額は1,828,000円ということで、税金総額はほぼ互角、人によっては国内業者を使った方が税金が少なくなるケースもではじめることになります。

⑤課税所得が900万円以上の場合

海外FXで年間900万円以上の利益を稼ぎ始めた場合にはいよいよ国内業者利用の申告分離課税よりも税率が高くなることを覚悟しなくてはなりません。

たとえば900万円を超えて大きな金額となりますが、年間1758万円の利益を上げた場合、海外FXですと基礎控除を引いて17,200,000円×33%-1,536,000円=4,140,000円が所得税となります。この場合住民税はすでに130万円前後まで膨れ上がりますので、540万程度が税金の支払い総額になってしまい、収益の最大30%超程度を最大で支払うことになります。もちろん扶養家族や各種社会保険などの控除を差し引けばそこまで大きな金額にはなりませんが、独身トレーダーとなればこれに準じた税金を支払うことになりますからしっかり貯金しておくことも必要になるのです。

稼ぐ前から真剣に計算しても仕方ありませんが、これがさらに年間4000万円を達成となりますと、税率は軽く40%を超えることになり、申告分離課税による812万円の倍近い課税になってしまいます。

もうこうなると個人で売買をするというよりは法人を設立して節税を真剣に考える必要がでてくるのは言うまでもありません。

結論として

海外FXを利用して年間900万を超える額をコンスタントに稼ぐようになった場合、本格的に節税について考える必要があることがわかります。ここでご紹介した海外FXの利益の総合課税はかなり極端な例ですから実際の申告所得はこれよりもかなり低くなりますし家族がいたりして控除が増えればもっと税額は低くなることが期待できますが、このレベルからは本当に税金対策を考え始めることが重要になりそうです。

しかし意外に総合課税と申告分離課税は1000万以下の利益ですと大きく違わないということもご理解いただけたと思います。