AI実装のアルゴ取引にMT4の自動売買は対抗できるか?

AI実装のアルゴ取引にMT4の自動売買は対抗できるか?

ここのところ為替相場ではかなりAIを実装しているのかなんなのか実態がよくわかりませんが短期投機筋のアルゴリズムが暗躍し相場が大きくぶれる動きが多発しています。アルゴリズムの市場への台頭が始まった2010年ぐらいから裁量取引をする国内個人投資家にはこれからは自動売買しかないという見方が非常に強まった時期もありましたが、国内では一定のロジックを持ったループイフダンのような仕組み売買以外は正直なところ自動売買もそれほど流行らずに今日に至っています。
今後ますます増えそうなAI実装のアルゴリズム売買に本当にMT4などを使った自動売買が伍してやっていくことができるのでしょうか。今回はそんなAI実装アルゴ取引にどう対応していくべきなのかについて考えてみることにします。

トレンドがでるとどんなに高くても買い、低くても売るのがアルゴ

一般的に言えることですが、株でも為替でもAI実装のアルゴ取引はとにかく短い時間足で少しでもトレンドがでればそれにまったく恐れることなくついていくというのが一つの大きな流れになっています。本来裁量取引ですとここまで高いところでさらに上昇しそうだからいきなりロングでついて行くことはないと思われても、AIのアルゴリズムはまったく気にせずロングでついていくという躊躇のない売買をするのが得意です。たしかにこれはさすがに裁量取引のトレーダーでは真似できない動きともいえます。

ニュースヘッドラインで売買するアルゴは全く儲かっていない

最近市場で目に余るのはニュースのヘッドラインのテキストを瞬時に読み込んで妙に買いあがったり売り下がったりする動きです。たしかに相場は一時的にはニュースヘッドラインで振らされることはありますが、記事をよく読んでみるとヘッドラインの書き方と内容が違うこともあり、結局値を戻すことも多いようで、この手のヘッドライン対応アルゴは正直なところかなり儲かっていないようです。とくにほかのアルゴの動きに連動してただ追随するようなアルゴリズムは損失が拡大するばかりでこの秋の決算で破綻の危機に立たされているファンドすら登場する始末で、見ると聞くとでは大違いの状況が示現しています。こういう話を聞きますとあえてAI実装のアルゴリズムに対抗する必要があるのかどうかという疑問が強くよぎることになるわけです。

MT4の自動売買はテクニカルのロジックで動いているだけ

一方MT4のEAに代表されるような自動売買のソフトというのは残念ながら特別hなAIを実装したソフトではなく、いくつかのテクニカルチャートから発せられる売買シグナルを組み合わせることでトレードをしているという特徴があります。その動きはループイフダンのように外部の個人トレーダーでも理解できるものではないことからとかくブラックボックス的に評価されがちですし、実際長い時間足で売買を決めていくようなEAの場合には裁量トレーダーがあきらかにトレンドが変わったと認識しても延々とその前のロジックで取引することからドローダウン(いわゆる含み損)が拡大し見ていられない状況に陥ることも多くなってしまうのです。
したがって自動売買とは言うもののとてもではないですがオールマイティで激変する相場に生き残れるようなトレードの仕組ではないことはあらかじめ十分に理解しておきたいところです。

レンジ相場が実はもっともリスクの少ない自動売買の稼働時期

しかしこの自動売買でもしっかり儲けを出せる相場局面は存在します。たとえばレンジ相場であって値幅もそれほど大きく拡大しないような地合いでは延々と自動売買が儲けを出してくれることもありますし、相場が激変しないような地合いではもともと一定のロジックで稼働する自動売買にとってはかなり有利な展開になることがわかってきています。したがって自動売買だからダメとあきらめることはありませんが、一定のテクニカルチャートのシグナルを組み合わせて売買しているだけですから過度な期待を持たないことと、裁量取引でも異変に気づくような特別な状況ではやはり一旦止めて様子をみるぐらいの臨機応変な対応が必要になるのは言うまでもありません。さらにMT4のEAは第三者が勝手なロジックで作っているだけに挙動がよくわからなくなることもあるのは事実で、絶対的に信用しすぎるのはやはり大きな問題が起きると思った方がいいでしょう。とくにバックテストでどのぐらい儲かったという話ほどあてにならないものはありませんので、ロジックにどういう特徴があるのか、またそれが自分の取引における許容範囲として許されるのかどうかをよく検証して利用することがお勧めとなります。

結論からいいますとAI実装のアルゴリズムと特定のテクニカルチャートから
抽出したロジックベースで動くEAのような自動売買はまったくの別物であり、比較すること自体がナンセンスな状況です。しかしながらAI実装のアルゴリズムはまったく全知全能といった存在ではありませんからこうしたツールはうまく動くときだけ選別して使うという割り切りが結果的にいい成果を与えてくれることになるのではないでしょうか。
AI実装のアルゴリズムに対しては実は人の裁量取引がまだまだ勝てる局面があるのではないかと最近は強く感じる次第です。