MetaQuotes Software Corp.が社名変更、MT5をさらにアピール

MetaQuotes Software Corp.が社名変更、MT5をさらにアピール

MetaQuotes Ltd.に一部社名変更

2019年8月から一部社名変更になっている

海外でFX(外国為替証拠金取引)を行うのであれば、必ず目にするのが「MetaQuotes社」でしょう。海外のどのFX業者を利用するにしても、このMetaQuotes社が関わってくるといっても過言ではありません。なぜなら海外FXは国内FXと違い、どこのFX業者であっても共通のトレードプラットフォームを採用しているからです。それがMetaQuotes社の開発した「MetaTrader4」(MT4)、「MetaTrader5」(MT5)になります。日本人トレーダーから圧倒的な支持を受けている「XM」のように、両方を採用しているFX業者もあれば、MT4だけ採用しているFX業者もありますが、どちらにせよほとんどのFX業者が、MetaQuotes社のトレードプラットフォームで取り引きできるサービスを提供しているのです。

MetaQuotes社は2000年にロシアに設立されたソフトウェア開発企業で、現在は本社をキプロス共和国に構え、日本を含めた世界各地に進出しています。日本での法人名は、株式会社メタクオーツ・ソフトウェア・ジャパンです。2015年に東京都港区に設立されています。キプロス共和国にある本社は「MetaQuotes Software Corp.」という名称でした。これが2019年8月から一部社名変更となり、「MetaQuotes Ltd.」と表記されています(日本国内のサイトではまだMetaQuotes Software Corp.の表記が残ったままです)。基本的に株式会社の表記はイギリスだとLtd.(Limited)が使用されるのが一般的ですし、アメリカではCorp.(Corporation)が使用されています。

特に大きな変更でもありませんので、あまり注目はされていないかもしれません。しかしそこにはMetaQuotes社のこれからにかける意気込みが感じられます。今回はMetaQuotes社という表記で統一させていただき、MetaQuotes社がドバイで開催されるFXエキスポなどを絶好の足がかりとして、MT5のアピールに力を入れている点についてお伝えしていきます。

MetaQuotesのトレードプラットフォームが世界を席巻

ECNに特化したトレードプラットフォームとしてcTraderも注目はされていますが、MetaQuotes社のトレードプラットフォームのシェアには遠く及びません。ですからトレードプラットフォームについてはMetaQuotes社の独壇場のような状態です。MetaQuotes社がここまでのシェアを誇れる理由としては、システムトレードを行うためのExpertAdviser(EA)を開発したり、共有できるという点でしょう。スプレッドの違いや、入出金の違いこそあれ、どこのFX業者を利用したとしても、同じEAを使い続けることができます。日々誕生している新しいEAもすぐに活用できるのです。同時に複数のEAを稼働させて利益を積上げていくことも可能です。これが世界中に浸透しているために、なかなかMetaQuotes社のシェアを覆すことは難しい状態です。

2018年の第4四半期のシェアを確認してみると(日本市場は除く)、なんとMT4だけで全体の取り引き高のおよそ55%を占めています。日本市場ではFX業者独自に開発したトレードプラットフォームをほとんどのトレーダーが利用していますが、日本以外の市場では半分以上のトレーダーがMT4を愛用していることになります。MT4は2005年にリリースされており、その後継が2011年にリリースされたMT5です。MT4とMT5は互換性に欠けるためまったく別のトレードプラットフォームと考えていいでしょう。MT4用に開発されたEAをMT5で利用することはできません。もちろん後継のMT5の方が高機能なのですが、あまりにもMT4が世界中に浸透しすぎたために、MT5にうまく移行できない状態が続いています。つまりMetaQuotes社のMT5の最大のライバルは、MetaQuotes社のMT4ということです。

MetaQuotes社はMT4のアップデートを終了していることから見ても、MT5に完全にシフトしていることがわかります。ただしなかなかMT4のシェアを崩せないのが現状です。理由はMT5を採用していないFX業者も多く、また、MT4に不便さを感じているトレーダーも少ないことが挙げられます。この状態を打破するには、MT5のメリットをもっとアピールしていく必要があるのです。実は、MetaQuotes社にとって2019年後半はその絶好の機会といえます。

MT5のトレードプラットフォームアピールを強化

MT5を採用して差別化を図るFX業者が急増

MetaQuotes社は、2019年に入ってからも6月にはMT5の最新版であるビルド2085をリリースしています。機械学習プログラムが内蔵されたアプリケーション・プログラミング・インターフェイス(API)が追加されていたり、FX業者の要求に沿って利用できる新オプションも追加されました。機能強化と供に、利便性も確実に向上しています。同時にios用MT5のモバイルアプリもアップデートされています。

MetaQuotes社の動きに合わせて、MT4やMT5のソリューション開発を行っているBrokeree Solutionsは、2019年9月にはMT5を導入しているFX業者用のリスク管理ツール「Exposure Manager」をリリースしています。これにより透明性が高まり、FX業者にとってハイリスクなポジションへのリスクヘッジに効果を発揮します。

こうしたMT5強化の影響は市場にも大きく影響しており、海外のFX業者が次々とMT5の導入を発表しています。MT5によって充実した取り引き環境を顧客に提供できますので、MT4だけを提供している既存のFX業者と差別化を図ることができます。MT5がそれだけの魅力あるトレードプラットフォームとして認知されてきたことを証明しているといえるでしょう。

2019年10月開催のドバイFXエキスポの公式プラットフォーム

さらにMT5にとって強烈な追い風が吹いています。2019年10月2日、3日にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ、ジュメイラ・エミレーツ・タワーズにて開催される「The Forex Expo」の公式プラットフォームに選ばれたのです。MetaQuotes社はこのイベントのテクノロジースポンサーとして、MT5の高性能ぶりをアラブ諸国にアピールする機会を得たのです。これは中東や北アフリカ地域(Middle East and North Africa:MENA)での最大となるFXエキスポです。

2019年3月に行われた同イベントのThe Forex Expoでは、FX業者がおよそ200社、参加したトレーダーの数はおよそ2000人で、今回のドバイでの開催ではその倍の参加者が予想されています。当日は大手FX業者として日本人トレーダーからも人気の高い「Axiory」もゴールドスポンサーとしてブースを出します。

ここでMetaQuotes社の代表者は、The Forex Expoの参加者に対し、MT5の最新動向について紹介していくことになっています。これは大きなチャンスです。UAEやサウジアラビアを中心としてアラブ諸国のFX市場は拡大を続けています。アラブ諸国ではまだまだ株式や債券への投資が主で、クウェート、オマーン、バーレーン、カタールなどのFX市場は開拓の余地がまだまだあるのです。その拠点となるのがUAEであり、ドバイです。コピートレード専用の口座があるなど特徴的なFX業者として有名な「HotForex」も2019年にドバイに新オフィスを構え、ライセンスを取得しています。他のFX業者もアラブ諸国のFX市場開拓を狙って進出している状態です。今回のドバイでのThe Forex Expoで、MT5の認知度がさらに高まれば、MT5ユーザーは急増することでしょう。そうなればMT5のEAも加速度的にどんどん開発されることになり、MT4以上に世界中に浸透していく可能性があります。

国内FXではMT4を採用しているFX業者はありますが、MT5は対応できていません。海外FXをするメリットは、超ハイレバレッジやゼロカットシステム、充実したボーナスだけでなく、「MT5をトレードプラットフォームとして利用できる」という点にもあるのです。今後ますます機能強化されていくMT5を早い段階で使いこなせるようになることも、これから先、FXで利益を出していくためには必要なことかもしれません。XMではMT5の口座を無料で開設できますので、試しに開設し、少しずつ慣れていくのも有効なのではないでしょうか。