GDPとFXとの関係について

GDPとFXとの関係について

FX取引をしていますと主要国のGDPの四半期速報値などの発表により大きく相場が動くことが多く、為替にとってはきわめて重要な指標であることがわかります。特に米国、ドイツ、EU,中国、日本といった中心的な国におけるGDPの結果は相場に大きな影響を与えることになりますのでFXのみならず金融市場全体でプライオリティの高い指標になっている状況です。今回はこのGDPというものについて改めてその中身と重要性を考えてみることにします。

そもそもGDPとは・・・

GDPはGross Domestic Productの略号で、国内では国民総生産とも呼ばれるものですが最近ではそのままGDPと呼ばれることも多くなっています。1年といった期間における国内で新たに生産されてた商品、サービス等の付加価値の総額のことをいいます。したがって不動産のうちの土地の価格が上昇しても商品の付加価値総額が大きくなったわけではありませんからGDPが大きくなることはありません。また貨幣経済によって流通するもの、つまりお金で売買されないものについては基本的にGDPに換算されることはありません。金融市場における借金の規模が大きくなった場合もGDPにはなんら関係のないものとなってしまうのです。

このGDPは数字が大きければ大きいほど豊かな国として認識されますし、厳密には人口一人当たりのGDPが大きいことがより豊かさを示す意味では重要になります。

国内の一人当たりGDPは3万5000ドルを超えていますが、一般的には1万ドルと超え始めると比較的に裕福な先進国として認識されるようになるのです。

名目GDPと実質GDPは何が違うのか

このGDPには名目GDPと実質GDPの二つの数字が存在しています。名目GDPはその名の通り年間の総額を足し上げただけの数字といなりますが、実質GDPはそこから物価の上昇率などを補正した数字となりますので、実質GDPが大きいほうが豊かであることがわかります。

またGDPデフレーターも重要指標として金融市場では注目されます。GDPデフレーターとは名目GDPを実質GDPで割ってパーセント表示にしてものでこの数字が100以上をなればインフレが加速している状態、逆に100以下ではデフらを示現しているということになります。日本の場合は長くこの数字が100を割り込む時間帯が長く確実にデフレ状態を経過してきたことがわかります。

先進国のGDPは個人消費が大きく貢献

先進国ではすでにGDPは成熟した市場の中ではなかなか大きく伸びなくなっており、各国ともにGDPをいかに大きくするかに頭をひねっている状況ですが、米国では7割近く、日本でも6割以上が個人消費によって支えられるようになっており、各国ともに製造行によるGDPの拡大よりも個人消費を非常に重視する様になっているといえます。国内では消費増税が10月から実施されるわけですが、これにより個人商品が停滞するようなことになればGDPの伸びにも大きく影響を与えることになるのです。

四半期ごとのGDP速報値に注目

FX取引の世界では、各国から四半期ごとに発表されるGDPの速報値に注目が集まります。速報値の後には確報値も発表されますがやはりインパクトが大きいのはなんといっても速報値です。この数字が2四半期連続でマイナスになりますとテクニカル的にリセッションということになりますので、主要国のGDPについてはFX市場のみならず株式市場や債券市場も非常に高い関心をもって発表に臨むことになります。また新興国のGDPについても高い関心が集まります。とくに中国の場合は世界の国々の経済に大きな影響を与えるだけに注目度は断然高く、東京タイムに発表される速報値で相場が動くこともある状況です。

このようにFX市場にとっても通貨の上昇や下落に非常に直結するのがGDPの数字ということになります。特に最近ではこのGDPの結果を受けて各国の中央銀行がどのように緩和を行うか、あるいは利上げ、利下げを実施するかの判断材料に使うこともあるため非常に注目される経済指標になりつつあるのです。

GDPの拡大は先進国から新興国へ

20世紀にはGDPは北半球の先進国の一部だけに集中してきたわけですが、21世紀になってその状況に大きな変化が出始めています。これからは人口が多く、しかも個人消費の旺盛な国のGDPが伸びる傾向が強まるものと思われ、法定通貨の強弱といったものもこれまでとは大きく違ってくる可能性がでてきているのです。

こうなると中国やインドのみならず、インドネシアなど人口の大きな国の成長が図られることが期待され強い通貨というものがこの先大きく変化していくことも予想される状況です。とにもかくにも、GDPの発表はFX取引には非常に重要な影響を与える指標となりますので、四半期ごとにしっかりとその結果を確認していく動きが必要になるのです。