日本では流行らないcTraderは使えるか?

日本では流行らないcTraderは使えるか?

国内では店頭FX業者は挙って独自のトレードツールを開発することから海外で使われているトレードツールのことはあまり知られていないものですが、それでもMT4は比較的知名度の高いシェアウエアとして認知されるようになっています。しかし欧州を中心として今MT4よりもさらに人気がでそうな状況になりつつあるのがcTraderと呼ばれるトレーディングツールなのです。ここではcTraderの魅力と実際に使ってみた印象についてご紹介してまいります。

ECN取引用に開発されたのがcTrader

cTraderは2011年にスポットウエア・システムズが開発したソフトウエアで、国内では全く知名度がないもののすでに開発から8年の歳月が経過しようとしているものとなっています。このソフトはいわゆるDMA・ダイレクトマーケットアクセスのために作られたものでECN専用のソフトウエアと言っても過言ではありません。ブローカーを経由せず直接市場にアクセスする方式は従来のMT4ではできないもので、ここがcTraderとMT4の市場の切り分けになっているともいえるのです。

FX業者視点で見ると結構異なるMT4とcTraderの運用

本来こうした取引ツールというのはユーザー視点で比較すべきものであることは間違いありませんが、実はMT4とcTraderを比較してみますと実際に利用する業者の導入後の運用が結構異なることがわかります。

まずイニシャルコストで見た場合にはMT4はライセンスの利用料さえ支払えばどこの業者でも簡単に利用ができるのに対しcTraderは開発元のスポットウエアシステムズによるセットアップ費用がかかります。ただしコスト的にはライセンス利用料よりも安いことからこれは大きな障害にはなっていません。

ただ、保守運用費用に関してはMT4が月額固定なのに対してcTraderは取引量に応じた利用料徴収となることから利用者が増えると自ずとコストがかさむことになります。

さらにMT4の場合には一度導入してしまいますと、ホスティングもメンテナンスサポート、ツールへのプラグインもFX業者自らが実施することができて使い勝手がいいのですが、cTraderはとにかくスポットウエア自身が実施することになる点もcTraderの普及を妨げる要素になってしまっているようです。

cTraderの場合にはとにかくFX業者サイドで調整できる部分がほとんどなく、ある意味では業者による不正が一切できない厳密な仕組みであるということが言えます。

国内から利用できる海外FX業者は3社

現状では欧州地域でcTraederの使える業者は増加中ですが、国内から口座開設をしてcTraderを利用できる海外FX業者は概ね3社存在します。まず最初に導入したFxProに加え、AXIORY、Tradeviewで利用が可能となっています。3社とも当然ECN口座で電子取引が可能になりますのでcTraderの約定力の高さを存分に発揮したトレードをすることができます。

厳密に言いますと手数料は少しずつ異なる部分もありますが、総合的に取引条件を比較してどこを利用するのが自分にもっともふさわしいのかを考えてみるといいのではないでしょうか。特にスキャルピングを主体とした取引をするトレーダーにとってはかなりcTraderは使い勝手のいいものといえそうです。キャッシュバック口座ならばさらに取引コストを抑えられますので、好条件ならばぜひ使ってみたいツールといえます。

実際に使ってみた印象

cTraderは実際にインストールしてみますと明らかにMT4より異なる部分が感じられます。そのひとつがCPUやメモリの使用率が非常に大きいことで、最近のPCであればあまり問題はありませんが、とくにメモリをたっぷり実装していませんと複数のソフトなどを動かしてみるのにはかなり辛くなる点はあらかじめ認識しておく必要がありそうです。

一応ソフトウエア会社が推奨しているのは以下のようなスペックです。

CPU デュアルコア
メモリ 4GB(最低2GB)
OS Windows 8.1以上(最低 Windows 7以上)
通信回線速度 100Kbps(50 Kbps)

したがって少し古いPCなどで取引をしようと思うときにはこのスペックとの乖離がどのぐらいあるのかはよく考えてから実行したほうがよさそうです。

最近のFX取引でデバイスのスペックを求められるのも珍しい話ですが、現実にはこうした問題もあるのです。

このあたりは実際に口座を開設する前にデモ口座で試してみますと、ECNの接続感は味わえませんが、取引のスピード感覚はあらかじめ確認することが可能です。

幅広いデバイスで利用可能

FX業者によっても設定は異なりますが、cTrader自体はウインドウズ、iOS、アンドロイドにwebブラウザタイプとかなり幅広いデバイス対応をしていますのでスペックの制限はあるものの自在に利用することができるのは大きな特徴といえます。実際にスマホでどこまで取引するユーザーがいるのかは不明ですが、その気になればスマホだけでもトレードは可能です。

板情報の確認が可能

ECN口座に接続していますので株と同じように板情報を確認することが可能です。画面の通貨ペアを右クリックしますとインフォメーションが現れますのでそれをさらにクリックしていきますと板情報をリアルで確認することが可能です。

画面はすべて日本語対応

cTraderは業者設定によって稼働していませんのでもともとソフトウエアがマルチ言語対応しており、日本語での表示と日本時間表示が簡単に設定できて便利です。

全体としてユーザーインターフェースが優れていますので、ある程度FX取引をしたことがある人なら特別迷うこともなく自然に操作ができるような作りになっているといえます。

チャートは自由自在

チャートはMT4が非常に秀逸ですが、cTraderも負けてはおらずユーザーの希望に合わせていくらでもカスタマイジングが可能となっています。ツールから簡単に設定可能ですから納得のいくチャート表示パターンでトレードをしていくことができます。好き嫌いは個別の人の好みによる部分が大きいとは思いますが、使い慣れると結構気に入る感じのチャートツールとなっています。

約定力は非常に高い

cTraderの場合はバックエンドにECN口座との連携が実現していますのでどの業者を利用してもかなり早い約定力を実現できます。これはスキャルピングなどにはもってこいのサービスで、利用し始めますとかなり満足度の高い時間を過ごすことができます。業者によってECNの接続先が異なりますかた多少違いもあるものと思われますが、通常のMT4のSTP口座を使っていますと明らかに約定力が高いのはどの業者でも体感することが可能です。

cTraderにはデメリットも存在

利用してみますと非常に好意度が高まるcTraderですが、MT4に使い慣れていますと結構違和感を覚えるところがいくつかあります。

インジケーターを簡単に導入できない

まずかなり困るのがインジケーターを簡単に導入できないことです。海外の市場ではそれなりのユーザーコミュニティがあるようですが、国内はなんといっても普及が進んでいないのですべて英語環境から探してこなくてはならず、しかも利用の評価なども英語環境で認識しなくてはならないためダウンロードしてみて使ったら期待と異なったということも少なくありません。最近ではかなりの数が出回るようにはなっていますが、MT4と比較してしまうと雲泥の差という感じでやはり普及度レベルに大きな違いがあることを改めて認識させられます。

自動売買はさらに至難の業

自動売買をそもそも視野に入れた取引をしていないユーザーにとってはなんら問題ありませんが、MT4のEAのように簡単に無償のEAを探してきて自動売買をしてみるといった気軽さはやはりまったく感じないのがcTrader一応専門のサイトで自動売買ソフトが公開されてはいますが、こちらもMT4に比べると期待度はかなり低いのが現状です。

全体的な印象として

ECN口座でスキャルピングを主体として取引するのであればぜひ使ってみたいのがcTraderといえます。残念ながら国内ではForex Exchangeが「俺のFX」で採用していましたが、足元ではいつのまにやら「俺のMT4」になってしまい、利用はできない状態です。

ここでご紹介した3つの業者は少しずつ取引条件も異なりますが総じて早いアクセスと約定を実現できますので、使い始めると非常に満足度の高さを得られるものと思われます。国内では既に利用不可能な状態ですから、海外FXを利用される方なら一度は試してみていただきたいトレーディングツールといえます。