国内では体験できないECN口座を海外FXで実際に利用してみた

国内では体験できないECN口座を海外FXで実際に利用してみた

国際決済銀行が発表しているレポートによれば世界的な為替のスポット取引、つまり現物取引ではすでにその7割が電子取引、EBSによるものとなっており、プロの為替取引の世界でもインターバンクのディーラーが介在する市場が完全に終焉しようとしていることがわかります。国内の店頭業者が行っているDD方式などは時代遅れもいいところな訳ですが、なぜか本邦ではこれが依然としてマジョリティになっています。そこで今回海外のFX業者が積極的に提供を始めているECN口座を実際に利用してみて何が違うのかについて確認してみることとしました。

手数料が外だしになりスプレッドが狭くなっただけと思われがちなECN口座ですが、実際に使ってみますとかなり違いがあることが明確にわかります。今回はそんなレポートをお届けします。

ECNは完全な電子商取引市場

海外FX業者の口座にはSTPと呼ばれるNDD方式でもほぼスプレッドを一定に保った仕組が存在しますが、それをさらに進化させて完全に電子商取引所の中でアルゴリズムによりマッチングをはかるのがECNと呼ばれるものです。ECNに参加してくるリクイディティプロバイダーと呼ばれるいわゆるインターバンクやブローカーなどはほとんどその名称は公表されていませんが、世界的にも有名なところが多く、電子商取引所によってその構成は異なりますので微妙に価格が違ってくることはありますが、FX自体相当な流動性がありますので、ほぼどこのFX業者を使っても似たような価格で約定することが可能になります。ただしそのスプレッドは異なるものとなるケースが多いのもひとつの特徴といえます。

実際に使ってみると2つの大きな違いを体感できる

今回ECNの体験的利用に使ってみたのがXMのゼロ口座とFBSのECN口座となりました。どちらもリクイディティプロバイダーは公表されていませんが、常にMT4を並行して見比べながら取引しますと相場の動き自体にはほとんど違いはありませんでした。たた、以下の2つのことは強く感じた次第です。

相場での取引量が多い時間帯は確実にスプレッドが狭くなる

ECNを名乗る口座では市場参加者の指値が板の形で開示されていますから、売り、買いどちらが多いのか、またどの価格帯に集中しているのかが株価の売買と同じように事前に見られる点は非常に秀逸であるといえます。

また取引ボリュームが多くなる時間帯になりますと俄然スプレッドが狭くなり、売り買いのマッチングがしやすくなっていることを体感することができます。これは東京タイムよりもロンドン、NYタイムのほうが顕著でありいかに海外のコア時間に

市場の取引が集中しているかを如実に示した状況といえます。

取引量の少ない通貨ペアと時間帯はうまく約定しないことも

ECNは売りと買いのマッチングですから取引量があまりにも少ない通貨ペアや取引時間帯が激減するアジアオセアニアの早朝などはあからさまに約定がしなくなる点は注意が必要です。

たとえば国内ではまったく取引が活性化しないユーロトルコリラやユーロロシアルーブルなどは東京タイムに取引しようとしてもそもそも参加者がいないことからまったく約定しなくなるという顕著な状況が示現することになります。

またドル円でもNYタイムが終了して東京タイムが始まる3時間ほどは本当にうまく約定しなくなり、市場参加者の有無が直接的に取引に影響を与えることを体験することができるのです。

ECNが主流になるのはもはや時間の問題か

今のところECN口座は世界的に見てもイニシャルステージにしかありませんが、実際に利用してみますとごく近い将来的にこちらがメインになることが予想され、非常に透明性の高い相場取引であることをあらためて認識することができます。

国内のDD方式からみるとえらく特別な取引所のように見えるのがECNですが、FX取引自体がこちらにシフトするのはもはや時間の問題ともいえそうで、今のうちからしっかりECNに慣れておくのは個人投資家にとっては大きなメリットになりそうです。