米国が中国に行った為替操作国認定とは一体何か
8月5日米国のトランプ大統領はとうとう中国を為替操作国として認定したことを発表し市場では大きな動揺が広がっています。
通常は年間数回の為替操作報告書の発表の中で認定が行われるわけですが、今回のようにいきなり政府が認定を発表するのは異例中の異例であり、トランプ政権の本気度が窺われる状況となっています。
この為替操作国というのはどういう条件が揃うと認定されるものなのか、またどのような制裁措置が待ち受けているのかについて今回は考えてみたいと思います。
為替操作国の認定基準とは
米国が規定している為替操作国の認定基準は概ね以下のようなものになります。
対米商品収支黒字200億ドル超過
国内総生産(GDP)比3%を超える経常収支黒字
GDP比2%を超える外国為替市場でのドル買い越し
80年代から90年代にかけては中国や台湾、韓国が為替操作国に認定された歴史が
ありますが、今回中国は二度目の正式認定となったわけです。
この3つの要件はクリントン政権時代からなかなかどの国にも適用されないように設定されており、中国はあえてお目こぼしにあってきたものでしたが、今回トランプ政権は無理やり中国を操作国として認定してしまったことになります。L
どのような制裁が待っているのか
本来為替操作国認定がなされますと制裁措置はほとんど関税の税率アップの適用が主な制裁行為となってきたわけですが、ご存知の通り米国はすでに中国に対して広範な高率関税の実施を決めていますから今回の認定でどのような制裁措置が米国から開示されることになるのかが大きな焦点になりそうです。
中国政府は一貫して為替を貿易問題に利用しないと否定
中国政府はこれまで中国が意図的に人民元を下落させたものではないと強調し、人民元の一方向への下落は中国にとって害のほうが大きいと人民元売りをけん制してきたわけですが、人民元が中国金融当局によって人工的に値付けされているのは周知の事実ですから、これが対ドルで7人民元を超えてくる状況ではこれまでとおり不可抗力との話は通じないのが実情で、市場関係者はこの人民元レートに固唾をのみながら注視しているのが現状です。今回も中国は意図的に為替を操作していないと主張するのでしょうが、すでに為替操作国の認定がされてしまった後の話ですから、これまでとはかなり状況が異なるものになっており、米中の対立次第ではドル円をはじめとする為替に大きな影響がでそうな状況になってきています。
FX投資家としては引き続きこの米中の為替を材料とした戦争の行方を見守る必要がでてきているといえます。
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