海外FXで納税額を抑えるコツは?

海外FXで納税額を抑えるコツは?

国内FXと海外FXの納税の違い

確定申告は必要なのか?

最近は「働き方改革」によって副業を許可する企業も増えてきていますが、そんな副業の中で注目を集めているのが、少ない資金から手軽に始めることができ、24時間取り引きができるFX(外国為替証拠金取引)になります。

FXといっても国内のFX業者を利用する方法もあれば、海外のFX業者を利用することも可能です。海外FXであれば国内をはるかに上回る超ハイレバレッジを効かせることができますし、クレジットカードで入金することもできます。

FXを始めた場合、気になるのは「税金」でしょう。税金額はどのくらいになるのでしょうか? 海外FXでも確定申告は必要なのでしょうか? 今回は「海外FXで納税額を抑えるコツ」についてお伝えしていきます。

まず確定申告ですが、国内FXであっても、海外FXであっても必要です。日本に居住している限り、どこの国のライセンスを所有するブローカーを利用していても日本で税金を納めなければなりません。

ちなみに給与所得者であってもFXでの利益が20万円未満であれば、確定申告の必要はありません。FXの専業トレーダーや非給与所得者は、FXの利益が38万円以上になると確定申告が必要になります。

国内FXの場合は、損失でマイナスになっていたとしても確定申告しておいた方が有利です。3年間の損失繰り越しがありますので、1年目、2年目で100万円の損失だったとし、3年目で100万円の利益を出したとすると差し引きゼロですので税金はかかりません。海外FXは損失繰り越しができませんので、1年間の収支がマイナスだった場合に確定申告しても意味がありません。

海外FXは総合課税の累進課税

国内FXも海外FXも利益は「雑所得」扱いとなります。ただし税率については国内FXと海外FXでは違いがありますので注意してください。

国内FXは「申告分離課税」のため、税率は一律20.315%になります。100万円の利益だったとしても、1億円の利益だったとしても税率は変わらないということです。とてもわかりやすいのが特徴です。

しかし海外FXは「総合課税」のため、税率は「累進課税」となります。本業でサラリーマンをしているのであれば、そちらの給与と合算して税率が決まる仕組みです。

例えば本業は年収750万円で、FXの利益が250万円だったとすると、合計額は1,000万円となりますので、税率は900万円~1,800万円の33%に該当します。ちなみにこの場合の年収は、源泉徴収後の所得を指します。給与からは税金がすでに引かれていますので、確定申告しなければならないのはFXの利益分だけです。税率33%の場合は、636,000円の控除を受けられるので、実際は250万円-636,000円の金額の33%ということになります。このように確定申告は海外FXの方がやや複雑になっています。

海外FXの方がハイリターンを期待できるので、それに比例して納税額も大きくなってしまうのですが、節税対策をすることで納税額を最小限に抑えることが可能です。続いて節税のコツについてお伝えしていきます。

海外FXでの節税のコツ

必要経費をどこまで申告するのか

「支払う税金はできるだけ抑えたい」というのがトレーダー誰もの願いでしょう。もちろん利益がでなければ税金を支払う必要もないのですが、それではFXに投資している意味がありません。FXでしっかり利益を出しつつ、節税するというのが大切です。

ここでのポイントは、累進課税は単純にFXの利益に対して課せられるわけではなく、「FXの利益-必要経費」の金額に対して課せられるということです。大げさな話、例えば海外FXで100万円の利益を出したとしても、必要経費が100万円かっているのであれば、FXの利益に対して税金は発生しません。つまり節税のコツは「必要経費」をどこまで申告するのかということになります。

逆に必要経費をまったく申告しなければ、税金がゼロになるにも関わらず、知らずに多くの税金を支払っていることになります。これはもったいない話です。証明できる領主書などをしっかり保管しておけば必要経費を申告できるのです。

例えばFXのスキルアップのためにFXセミナーに通った参加費や、書籍の購入代金などは間違いなく必要経費に含むことができます。また、MT4やMT5といったトレードプラットフォームを利用し、EA(Expert Advisor)でシステムトレードを行うには、VPS(Virtual Private Server)といった仮想サーバーのコストもかかりますので、申告すべきです。

海外FXするためにパソコンを新たに購入したのであれば、そちらも申告しましょう。金額的には10万円未満であればその年の必要経費に含むことができますし、10万円を超えた場合でも減価償却資金として扱うことができます(青色申告者であれば30万円未満までならその年の必要経費として申告可能)。

自宅でトレードしているのであれな、コストを100%必要経費としては認められないものの、インターネット料金などは按分して70%ほどは申告できます。税務署とも相談になりますが、電気代などの光熱費もある程度は必要経費として申告できますので、可能性のあるものはすべて領収書を年度末の確定申告まで保管しておきましょう。ちなみに海外FXの入出金に関する手数料は必要経費には含むことができません。

420万円以下であれば海外FXの方が納税額は安い

このように必要経費を差し引いて計算していくと、当初の課税所得額より少なくなってくるはずです。さらにその他の総合課税の雑所得があれば損益通算は可能です。

海外FXは稼げば稼ぐほど税率が上がる仕組みですが、課税所得額が420万円以下であれば、国内FXの申告分離課税よりも納税額は抑えることができます。専門トレーダーであれば該当する可能性は高いでしょうが、本業で源泉徴収後の所得が420万円を突破している場合はどうしても国内FXよりも税率は高くなってしまいます。これは超ハイレバレッジを効かせてハイリターンが可能な海外FXを利用している手数料と割り切るしかありません。それでも必要経費を申告すれば、納税額は確実に抑えることができます。

また、課税対象になるのはポジションを決済して利益が確定した場合ですので、含み益を抱えたまま決済せずに年度末を乗り越えるという手もあります。ただし、課税所得額を増やさないようにするためにポジションを保有し続け、最終的に含み益になってしまったら元も子もないので、決済のタイミングはしっかりと判断すべきです。

以上、ご紹介したように、海外FXといえども利益が出たら確定申告する必要があります。ただし、節税は可能ですので、確定申告に備えて準備していくことが重要です。副業だとしても大切な資産の運用になりますので、ぜひ効率的に取り組んで資産形成していってください。