国内個人投資家視点で考える海外FX業者の選び方について

国内個人投資家視点で考える海外FX業者の選び方について

国内の店頭FX業者から海外のFX業者に乗り換えようかと思ったときには殆どの本邦個人投資家はハイレバレッジの最大レートやボーナス支給の条件などに気をとられることになりますが、実は海外業者を選択するにあたってはより本質的な条件を吟味することが重要になります。今回はそんな国内個人投資家視点で考える海外F業者選びでもっとも重視すべき5つのポイントについてご紹介していきます。

選択で必要な条件は5つ

具体的に選択にあたって重視すべきなのは最低限以下の5つの事項となります。

  • 円建ての口座が開設できること
  • NDD方式のビジネスモデル業者であること
  • 取引商品のスペック等を詳細ホームページで事前開示していること
  • ゼロカット方式をしっかり導入していること
  • 出金の方法が多角的に設定されていること

それではそれぞれの項目についてご説明していきます。

円建てで口座開設ができること

せっかく為替の取引をしているわけですから入金や出金といったプロセスで高いコストがかかるレートで為替の両替コストがかかったのでは何のために取引をいしているかわかりません。そういう意味では海外FX業者で取引するとしてもしっかり円建ての口座が開設できることがきわめて重要になります。

日本から円で入金ができ、それがそのまま口座に反映し利益も日本円で積算され、出金も日本円であればこれほど効率的な取引はありません。

しかし、これがドル建てでしか口座開設できませんと、まず円で入金したものが現地の業者でドル転されて入金される段階で為替のコストが発生することになります。

また積みあがった利益はドル建てですからこれを出金するときにまた為替両替のコストが発生することになります。クレジットカードの出金払い戻しでも銀行経由の海外送金でも円転にまた余分な両替コストがかかる点は見逃すことができません。とくにカード会社や銀行のレートは簡単に1円以上異なってきますから、せっかくこつこつ利益をあげてもいきなり出金で大きなコスト負担を強いられるというまったく本末転倒な結果を招くことになってしまうのです。FXのトレーダーならこんな条件の悪い取引をすべきてはありません。

とにかく円建ての口座が開設できることは海外FX業者選択の第一条件ともいえるものです。

NDD方式のビジネスモデルを導入している業者

海外FXの業者はできるだけ少人数で業務を展開することができるようにNDD方式とよばれる、外部のカバー先にすべて顧客のオーダーを出してそれにマージンを乗せるというビジネスモデルを導入しています。これは非常に業務の透明性の高いもので、しかも顧客の売買と利益相反を一切起こさないものですから信頼に足る仕組みということができます。しかし国内の店頭FX業者のようにディーリングデスクを社内に置いている場合には顧客との反対売買や呑みで利益を出す業者も多く、顧客の損失こそが業者の利益になっていることが多くなるのです。せっかく海外FXを利用するのですから安心して取引できる業者を選択するのは必須で、このNDD方式の業者を選択するのはかなりプライオリティの高い条件ということができます。

取引商品のスペック等を詳細ホームページで事前開示していること

意外に気がことで事前にチェックしておきたいのが取引商品のスペック等の詳細をきちんと自社のホームページで事前に開示しているかというかという問題です。スワップポイントのようなものはなかなか事前表示するのが難しいのはわかるのですが、一体どの通貨ペアが設定されて取引可能なのか、あるいはCFDなどでもどのような商品設定がされているのか、最低取引単位と平均のスプレッド程度はしっかり事前に情報が開示されていることが重要です。

相対取引とはいえ、ひとつの取引所を形成しているわけですから売買ができる商品の詳細が事前に開示されず口座開設してみてからやっとわかるというのはいかにもお粗末です。CFD関連商品の情報が薄い海外FX業者は多いですし、そもそもFXの取引通貨ペアも正確にリアルタイムで表示しないところがあるのには閉口させられます。ボーナスなどのプロモーションのことばかりが前面に表示され、詳細の取引スペックが出てこない、それ以外は英語の約款をみないとわからないという業者は日本人個人投資家を積極的に取り込もうとしていないようにも見えますので、このポイントはかなり重要な選択の判断要素になります。

ゼロカット方式をしっかり導入していること

海外FX業者選択の必須条件として入れておきたいのがゼロカットシステムを実装しているかどうかということです。国内ではこのゼロカットシステムというのは顧客への損失肩代わりによる利益供与などと言われ金融庁からは固く禁止されているものですが、欧州圏のFX業者には古くから実装されている仕組で、最近ではESMA・欧州証券市場監督局はEU内でビジネスをするFX業者に取引上の必須条件としてこのゼロカットシステム導入を求めている状況で、これが実装されていない業者はビジネスができないものとなっています。したがって海外FX業者の多くはこの要件を満たす形で取引サービスを提供していますが、ごく一部の業者は依然としてゼロカットシステムを導入していないとこもあります。また通常は相場の暴落等で資金がマイナスに陥っても自動的にゼロカットが履行されるのが本来の姿ですが、あえてマイナスになったときにサポートサービスに連絡しないとゼロカットにならないというかなり不親切な業者も存在します。グループ企業でEUもしくはUKのライセンスを持っている業者は必然的にこのサービスが実装されていますので、やはり口座開設の前の必須事項としてチャックすることが肝要です。

出金の方法が多角的に設定されていること

海外FXの場合、利益がでてから大きな問題に陥るのが出金についてです。国内の個人投資家が安心、安全でしかも低コストで国内に資金を持ち帰ることができるようなソリューションをいかに設定し提供してくれているかというのは実は使い始めてみて最後の段階で気がつくものです。最近はオンラインウォレットなどの利用をセットしてくれる業者も多くなっていますが、マネーロンダリングの問題からその利用をかなり限定的にする動きも顕在化してきており、業者サイドが積極的にこうしたサービス設定をしようとしても結果的にうまく使えるソリューションが無くなっているのもまた事実です。さすがにこれは仕方ない部分もありますが、とにかく出金について努力をしているのかどうかについてはしっかりチェックしてみる必要があります。

自分の求める業者の取引要件が何なにかをしっかり認識することが重要

ここでは5つの業者選定要件をご紹介していますが、すべてに対応する業者が少ないこともまた事実です。となるとどこまでの要件は必須事項として織り込まれていることが必要なのかは自ら事前にしっかり判断しておくことが大切になります。あらかじめ納得しているならば円建て口座でなくても利用するという割り切りも出てくるかも知れませんが、ゼロカットシステムのようなものは最低必須要件として導入されていないと選択肢のなかに入らないといった判断をすることも重要になるのです。海外FX業者を利用して満足のいく取引をするためにはレバレッジやボーナス以外にもしっかりとした取引条件確認を行うことが必要不可欠であることをあらかじめよく理解していただきたいと思います。