TradersTrustのライセンスの歴史

TradersTrustのライセンスの歴史

TradersTrust(TTCM)はライセンス停止処分を受けていた?

TradersTrustの魅力

現在の日本の超低金利政策の中で資産を増やしていくためには、定期預金から積極的な投資に切り替えていく必要があります。ただし、いきなり投資といってもリスクの面で抵抗がありますから、少額から始められるFX(外国為替証拠金取引)が人気です。24時間取り引き可能で、本業が終了した後でスマホからでも売買できますので手軽に始めることができます。

特に海外FXは、国内FXと違い金融庁の規制対象にはならないので、超ハイレバレッジでハイリターンを期待できるというメリットがあります。今回ご紹介する「TradersTrust」(Traders Trust Capital Markets Ltd.:TTCM)は、クラッシック口座・プロ口座では500倍までレバレッジを効かせられます。国内のFX業者では最大で25倍ですので雲泥の差です。ただし国内FXとは違いNDD方式(ノーディリンググデスク)を採用しているため、スプレッドは広めになってしまいます。それだけ取り引きの透明性が高くなっているのですが、狭いスプレッドでスキャルピング(超短期売買)をしたいトレーダーにとっては悩みどころです。

ここで注目すべきは、TradersTrustの最大の魅力は、透明性の高いNDD方式でありながら業界最狭水準のスプレッドを提供できる「VIP口座」というアカウントがあることでしょう。米ドル/日本円(USD/JPY)で平均スプレッドが0.4pipsです(ただし、1Lotの取り引きにつき往復300円の手数料がかかります)。VIP口座は最低入金額が200万円とハードルが高く、レバレッジも200倍までの設定ですが、海外FXと国内FXのいいとこ取りになっています。スキャルピングに興味があり、資金に余裕があるのであれば、VIP口座を開設して始めるのが一番のおすすめです。

そんなTradersTrustはどこのライセンスを所有しているのでしょうか?今回はTradersTrustのライセンスの歴史をお伝えしていきます。

キプロス証券委員会(CySEC)から一時ライセンス停止処分

TradersTrustは2009年創業ですから、どちらかというと新興ブローカーの分類に入るでしょうか。当初はキプロス証券委員会(CySEC)のライセンスで運営していました。2012年以降になると日本人トレーダー向きにもサービスを展開しています。

そんな中で2017年3月、TradersTrustはキプロス証券委員会の意向によってライセンスの停止処分を受けてしまいます。このときは他にもバイナリーオプション業者になりますが3社がライセンスの一時停止の処分を受けています。理由は、銀行口座の保有金額が規定を満たしていないこと、自己資本率が不適格だったことです。実際のところはキプロス証券委員会とTradersTrust側で行き違いがあり、TradersTrustとしては外部監査法人へも報告していたにもかかわらず、キプロス証券委員会から申告不要という指示だったのでレポートを行わなかったら、後に未確認資産として指摘されたようです。

ライセンスの停止中は、新規顧客の口座開設は当然できず、利用しているトレーダーの注文も受け入れ停止となるので深刻な事態です。広告宣伝といった業務活動も禁止、ウェブサイトにはライセンス停止を記載するよう指導を受けています。ただし、規定を満たしたとして4月にはライセンス停止は解除されました。わずかな期間とはいえ、看板に傷をつけられた形になり、信頼度の失墜を余儀なくされたわけですから、TradersTrustにとってかなりの痛手だったのではないでしょうか。

ただし、ここから先のTradersTrustの戦略や動きは迅速になります。2018年中旬から欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority:ESMA)の規制が強化されることを見越して先手を打って認可ライセンスを移行していくのです。

現在のライセンスはバミューダ金融局(BMA)

バヌアツ共和国金融局(VFSC)への認可ライセンス移行

ESMAの規制の中では、これまでの超ハイレバレッジのサービスは提供できなくなります。その対応策として、多くのFX業者がオフショア市場に別法人を設立し、新たにライセンスを所有するといった苦肉の策をとっています。ギリギリになっての対応で顧客を混乱させてしまうFX業者もあれば、TradersTrustのように早い段階で情報を入手していち早く動いたFX業者もあります。

2017年7月、TradersTrustは正式に許可ライセンスをバヌアツ共和国金融局(VFSC)に移行したことを表明します。ちなみにこの段階でのライセンス移行の理由は語られていません。TradersTrustを利用していたトレーダーは、特にパスワード変更を求められるわけでもなく、使っていたMT4のトレードプラットフォームもEAもそのまま使い続けることができ、サーバーの変更もありませんでしたので、あまり気にならなかったかもしれません。クライアントポータルのアクセス先が変更になっただけです。

これで2018年になっても、ESMAの規制の影響を受けずにこれまでと同じサービスを提供することができます。ライセンスとしての信頼度は低下することになりますが、VFSCは必要資本金がとても安いというメリットがありました。おそらくいろいろなオフショア市場を比較してVFSCが最も都合が良いと判断したのでしょう。

TradersTrustは2018年4月に大幅なサービス改定を行っています。ウェブサイトもリニューアルしましたし、入出金の手数料も引き下げました。口座タイプも変更、新たに仮想通貨商品も取り扱い、さらに日本人トレーダーに向けて日本語サポートを充実させるなど、様々な層のユーザーの期待に応える企業努力をしています。

しかし、この年の末にはTradersTrustはまたしても許可ライセンスを移行することになるのです。VFSCのライセンスでこれまで以上のサービスを提供してきたTradersTrustは、なぜ再度許可ライセンスを移行する必要があったのでしょうか?

バミューダ金融局(BMA)への認可ライセンス移行

2018年12月、TradersTrustは、バミューダ金融局(BMA)へ認可ライセンスを移行すると表明しました。理由は、より良い取り引き環境とサービスを提供するためだとしています。特に問題なくサービスを提供できているように思えましたが、実は、TradersTrustを取り巻く環境は大きく変わろうとしていました。

それがはっきりと示されたのが、2019年3月のことです。バヌアツはリテールブローカーへの規制強化を打ち出します。必要となる資金問題など、VFSCのライセンスで運営していくためのハードルが上がったため、VFSCのライセンスを取得しようとする企業は500社ほどから200社を下回る状況になったほどです。おそらくTradersTrustはこの情報も事前に入手していたのでしょう。そして早い段階で手を打ったのです。

BMAにライセンスは移行されましたが、TradersTrustを利用しているトレーダーのポジションはそのまま自動的に移行されており、大きな変更はありませんでした。混乱することなく、TradersTrustは顧客の移管に成功したわけです。そしてこれまで同様のサービスを提供できています。

2017年7月、2018年12月と立て続けに許可ライセンスを移行したTradersTrustですが、現状のサービスの品質を低下させないよう、将来に起きることを事前に察知しての対応策だったと考えられます。情報をいかに早く入手し、それを上手く活用できるかは、FXで利益を出すためには必要な要素になります。TradersTrustは、まさにそれを実践して見せてくれているといえるでしょう。TradersTrustの今後の動きにも目が離せません。

冒頭でもお伝えしましたが、TradersTrustで一番お得な口座はVIP口座になりますので、TradersTrustを利用するのであれば、ぜひVIP口座の開設を検討してみてください。