AXIORYのbitwallet騒動は? 問題発生から解決まで詳しく解説
bitwalletが業務提携解消
bitwallet側の突然の発表
海外FX(外国為替証拠金取引)の大手である「AXIORY」に激震が走ったのは、2019年2月11日のことです。入金や出金の際に利用されていた「bitwallet」が利用できなくなるというニュースが流れたからです。
このニュースの発信元はbitwallet自体でしたから、間違いない情報でした。しかも内容はAXIORYに対してかなりネガティブなもので、「Axiory Global社がメインバンクであるSparkasseから銀行停止処分を受けたこと」「経営状態が不透明であるため、契約を解除し、日本時間の3月1日1:00からbitwallet経由での取り引きはできなくなること」という衝撃的な告白になっています。これが突然ユーザーに対して告げられたのですから、ユーザーもたいへん驚きました。
そのため、「AXIORYは潰れるのではないか」「AXIORYから出金できないのではないか」という憶測を呼び、大混乱することになったのです。もちろん多くのトレーダーがAXIORYから資金を引き上げたことでしょう。それだけbitwallet側の主張は強烈なインパクトを持っていたのです。内容やタイミングからすると、bitwalletとAXIORYは明らかに円滑な業務提携解消ではありません。
bitwalletによる電子決済サービスは、出金や入金に対してとても利便性があり、多くのトレーダーが利用していましたから、bitwalletが利用できなくなるということだけでも、AXIORYにとってはかなりのマイナスポイントでした。Bitwalletが利用できないのならAXIORYでFXをする意味がないとまで考えているトレーダーもいたほどです。
AXIORY側の反発と言い分
このネガティブサプライズに対して、AXIORY側もすぐに反論を公開しました。メインバンクを切り替えることになったことは確かですが、理由は停止処分を受けたからではなく、Sparkasseがユーロ圏外の金融機関へのサービスを終了したためと発表したのです。つまり円滑な業務提携解消というわけです。
確かにSparkasseは2017年からすでに米ドルの送金ができなくなっていたり、ユーロ圏の規制が強まっていました。
しかし、AXIORYがそれを発表する前に、bitwallet側がそれを公開したということは、AXIORYの遅い対応にbitwalletが嫌気したためかもしれません。AXIORYのその後のメインバンクへの移行や、新しいシステムの導入による手続きの説明など、ギリギリの期限での発表になっており(しかも日本語対応していない部分もありました)、AXIORYの不手際が露呈したことは間違いありません。そのためトレーダーの多くがやはり資金を引き上げた方がよいと判断することになったのでしょう。
これまでの期間、水面下でAXIORYとbitwalletはかなり揉めていたのではないでしょうか。そうでなければここまで混乱を生じるような発表をbitwallet側も選択しなかったはずです。
どちらにせよメインバンクの移行、bitwalletの停止によって、AXIORYは大きなシステム変更を余儀なくされます。とりあえず出金は問題なくできたようで、その点のトラブルは発生していません。現在は、今後のAXIORYのサービス面がはっきり次第、再度入金しようか迷っているトレーダーが多くいるような状態です。
bitwalletと業務提携解消した後の展開
メインバンクはユニオン銀行
Sparkasseとの業務提携を解消したAXIORYは、他のメインバンクを探す必要がありました。そこで登場したのが「ユニオン銀行」です。AXIORYは自社サイトにおいて「Sparkasseとの円滑終了」と「ユニオン銀行、Doha銀行との提携を開始」したことを告げました。
ユニオン銀行(スイス管轄下)はリヒテンシュタイン公国にあります。AXIORYはこのリヒテンシュタイン公国の信用度が高い点もしっかりアピールしています。スダンダード&プアーズ社の格付けにおいて最高ランクのAAA(トリプルA)の評価を受けている国だからです。Doha銀行はドバイにある銀行になります。
AXIORYはユニオン銀行と新たに提携したことにより、自動ID認証システム「Jumio」を導入することになりました。おそらくこれがユニオン銀行側から提示された条件だったのでしょうが、トレーダーは、2月28日までにJumioへ登録しないとAXIORYで取り引きが継続できなくなってしまったのです。登録はパスポートや運転免許書、マイナンバーカードなどを活用して可能なのですが、急な話だったので慌てたトレーダーも多かったでしょう。
AXIORYはサイト上で「最善と判断したタイミングにて提供すべく日々努めております」と付け加えていますが、告知のタイミングは明らかに遅く、bitwallet社のニュースレターが届く事態がなければ、発表はもっとギリギリになっていたことでしょう。かなり後手後手の対応といえます。
ちなみにbitwalletの言い分に反論するサイト上では、新しい銀行との提携について明言していますが、bitwalletに代わる入出金システムの導入についてはまだ検討中となっており、運営側もかなり慌てていることがうかがえます。おそらく、この新システム導入がはっきりと決まり次第、告知したかったのでしょうが、思うようにいかなかったのではないでしょうか。そのため見切り発車的な、中途半端な内容での反論になっています。
bitwalletの代わりにSTICPAYを導入
その後、AXIORYは「新時代」と銘打って新しいサービス開始を公表しています。
気になるbitwalletの代わりは、2017年よりスタートした「STICPAY」になります。他のFX業者でもbitwalletではなく、STICPAYを導入しているケースがありますし、これから様々改善され、より進化して利用するFX業者も増えていくだろう電子決済サービスですが、bitwalletと比較するとやや割高であることで有名です。
e-walletとAXIORY間の入出金については、手数料は無料ですから問題ないのですが、e-walletへの入金する際に、VISAやMastercardを利用すると入金額の3.85%が入金手数料となります。海外銀行送金だと5%+リフティングチャージが手数料です。また、e-walletから国内銀行に出金する際には、600円+出金額の2.5%が手数料としてかかります。
クレジットカードでの入金時は、あまり差はありませんが(それでもbitwalletは入金額の4%が手数料なので、ややSTICPAYの方が有利です)、問題は出金時です。Bitwalletがいくら出金しても手数料が824円であるのに対し、STICPAY の600円+出金額の2.5%は高いでしょう。トレーダーから不満の声が出ても仕方のない話です。
bitwalletに一方的に業務提携解消されてしまったAXIORYとしては、ダメージを最大限に抑えるにはこの方法しかなかったのだと考えられます。AXIORYの苦しい立場が伝わってくるような対応ではないでしょうか。
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