海外FXならではのECN取引とは

海外FXならではのECN取引とは

海外FX業者の口座には同じNDDでもSTP方式とは別にECNと呼ばれるスプレッドの狭い口座の設定がされていることが殆どとなっています。しかしこのECN方式というのは国内ではほとんどお目にかかることのできない口座でそのメリットを正確に知る本邦の個人投資家は意外に少ないものです。今回はそんなECN口座のメリットについて改めて考えてみることにします。

そもそもECNとは?

ECN口座とは、Electronic Communications Network(エレクトロニック・コミュニケーションズ・ネットワーク)の略号のことで邦訳しますと電子商取引のことを指す仕組です。

海外FX業者が設定しているECN口座では取引プロセスをネット上だけで行い複数のインターバンクが直接市場に繫がってアルゴリズムにより最適な取引を結びつけるという電子取引を行っているのです。物理的な取引所こそ存在はしませんがネット上で顧客からのオーダーをすべて参加するインターバンク等に振る形で、業者はあくまでそれに一定の利益を別建てで加算し実際の取引には一切タッチしないのが大きな特徴となっています。

リアルタイムオークション形式がECN

ECN口座では海外FX業者が便宜上ネット上に開設されたバーチャルな取引所を提供し、そこに口座を開設した個人のトレーダーや銀行、海外ブローカーが売買の取引を行うものでまさにオークションの方式をとっています。注文情報は板情報として開示され参加者はそれを確認しながら売買を行うことができるのが大きなメリットです。一つのオーダーに対する複数のオファーはアルゴリズムが瞬時にもっとも最適なものを選択しますのでスプレッドは常に狭いものが採用されることになり、STP方式に比べますと非常に効率的な取引ができることから海外では人気の高い口座となっているのです。

ECNの具体的なメリット

ECN口座には明確なメリットが存在します。

1)板情報が事前に確認できる

通常国内のFX業者などでは参加者がどのような売買オーダーをしているかはまったくわからないものですが、株と同じように板情報と気配値を見ながら取引を行なう事が可能です。市場参加者がどのような取引をしようとしているのかがあらかじめわかることから売買戦略を立てやすくなるのです。

買い注文が多ければ相場が上昇することが期待できますし逆に売り注文が多ければ下降する可能性が高まるといった類推ができるわけです。

また個人投資家の場合相場の動きと反対にポジションを持ちやすいという特徴がありますので逆張りのポジションが多ければ逆さまに相場が踏みあげたり下抜けたりする可能性を考えることもできるのです。これは通常のFX口座には存在しない大きなメリットといえます。

2)スプレッドが狭い

ECN口座は個人投資家の売買注文に対してインターバンクなどからのオファーが常にアルゴリズムのマッチングにより最適化されることから取引量の多い時間帯は確実にスプレッドが狭くなるというメリットがあります。とくに主要通貨ペアであるドル円やユーロドルではこのメリットを享受しやすくスキャルピングなどにも十分利用可能な口座となっているのです。

物理的にはマイナスのスプレッドもでるのですが、多くの業者はゼロスプレッドを最小としています。

3)スリッページが発生しない

スリッページは投資家が発注した価格と実際の約定価格に差が生じることをいいますが、ECN口座では市場参加者がダイレクトに電子取引所内で売買を完結させるためスリップが起きることはありません。

約定スピードも非常に早く、国内業者が原則固定スプレッドを謳っているものよりも数段早く売買ができることになるのです。

4)リクオートも発生しない

通常のFXでは投資家がオーダーした希望価格での注文を業者サイドが拒否し新たな価格提示をしてくるといういわゆるリクオートが発生することがよくあるものですが、ECNはスリップしないのと同じようにリクオートは一切発生しません。

ECNにデメリットはないか?

こうしてみるといいことばかりのECN口座ですが、あえてデメリットをあげるとすれば以下のようなものになります。

1)取引手数料が外だしで有料

ECN口座は電子商取引により参加者同士が直接売買しますからFX業者はそれに外だしの形で取引手数料を付加してくることになります。

取引の透明性という点ではなんら問題はありませんが手数料分が外だしになっていることをよく考えて取引しませんとスキャルピングなどであまり小さい利益を追いかけた場合手数料分を引くと逆ザヤになるといった点だけは注意しなくてはなりません。

2)最低取引量が大きくなる

これはすべての海外FX業者に当てはまるものではありませんが、一般的にECN口座の場合には最低取引通貨量は高めに設定されており、一部の業者では1万通貨以上でないと取引できないケースもありますので注意が必要です。

ECN口座が向いている人はどんな人か?

ECN口座が向いている人は次のようなタイプが考えられます。

  • 取引量の多いトレーダー
  • スキャルピング主体で取引するトレーダー
  • ドル円、ユーロドルなど主要通貨を中心とするトレーダー

最低取引量も多めになりますから、初心者にはなかなか向かない口座とも言えますが、そのメリットはかなり大きく、FX業者が売買に全く介入しないので透明性が高い取引を行なう事が可能です。

海外FXに慣れてきたらぜひ一度売買に挑戦していただきたいのがECN口座といえます。